高橋眼科院

 近視進行抑制治療

子どもたちの近視の割合の増加と重症化は世界的な問題となっていて、さまざまな近視進行抑制治療が開発されています。主な近視進行抑制治療には以下のようなものがあり、近視の進行が抑制されることで将来の眼の病気のリスクが低減することが期待されます。 現在、日本で有効性・安全性が示されている代表的な治療を説明します。
1)リジュセア®ミニ点眼液0.025%(低濃度アトロピン点眼液)
世界的に最も広く行われている治療です。 もともと、1%のアトロピン点眼(通常の濃度)は、小児の斜視や弱視の診断や治療に長く使われており、 この点眼を20倍~100倍に濃度を希釈した0.01%~0.05%アトロピン点眼には、点眼を行わない場合と比べて、眼を開始した初年度に近視進行をおおよそ30~70%抑制する効果があることがわかりました。 低濃度アトロピン点眼は濃度が低いため、瞳が広がる作用で生じる、眩しさや手元の見えにくさ、といった副作用がほとんどありません。 1日1回夜寝る前に点眼するだけで日本では2025年に国内で初めて近視進行抑制治療として厚生労働省が承認し販売されました。眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正が別途必要で自由診療の扱いとなります。   
2)オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、カーブの弱いハードコンタクトレンズを睡眠時に装着して一時的に角膜の形状を平らにし、焦点を後方にずらすことで眼鏡やコンタクトなしで、良好な裸眼視力を得ようとする屈折矯正法です。 レンズを外しても一定時間はその形状が続くので、日中は裸眼で過ごすことが可能になります。オルソケラトロジーは、近視の矯正が得られるだけでなく、装用開始2年間で、近視進行をおおよそ32%〜63%抑制することが示されています。 同じレンズを繰り返し長期間使用するため、付着した汚れを丁寧に洗浄してレンズを清潔に保つ必要があり、原則、-4.00Dまでの近視の方に適している治療法です。適切な処方や管理を怠ると角膜感染症など重篤な合併症を起こす危険があり慎重な取り扱いが必要です。(自由診療)   
3)多焦点ソフトコンタクトレンズ
多焦点ソフトコンタクトレンズは、一般的に遠用の球面度数に近用の加入度数が付加された老視 矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして知られていてアメリカFDAの承認を得ているMiSight®1day (CooperVision社)が代表的です。 MiSight®1dayは、装用開始から3年間で、近視進行を約59%抑制が示されており、日本では、国内臨床治験が終了し、近視進行抑制治療として厚生労働省に承認申請中です。   
4)レッドライト治療法(red light therapy)
650nmの赤色光を、専用の機器を用いて自宅で1回3分、1日2回、瞳孔を通して目の奥に当てる治療法です。光を当てた直後に一時的なまぶしさ、残像が起こることがあるため、数分目を閉じて休むことが推奨されます。眼鏡による視力矯正は別途必要であり、オルソケラトロジーと組み合わせて使用することは可能です。低濃度アトロピン点眼との併用はできません。また、網膜に異常がないかなど、眼科医の判断が必要です。
※近視進行抑制としては長期的な安全性に関しては研究段階で国内未承認のため当院では 取り扱いしていません。   

リジュセアミニ点眼の費用